<人文カフェ>
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「起源などというものはない」
講師:四方田犬彦
● 日時:6月20日[金]18:30~21:00(開場は18:00)
※途中に休憩を挟み、質疑応答の時間も設けます。
● 場所:Toys’ Campus(神戸・岡本/摂津本山)
● 対象:高校生以上
● 参加費:2000円(お茶菓子付き)/学割:1500円
● 定員:20名
● ご予約・お問い合わせ:cafeludens@gmail.com
● 講演の概要
人は長い間、事物の真理は<起源>に存していると信じて来た。『言語起源論』、『種の起源』、『国家、私有財産、家族の起源』から『近代日本文学の起源』まで、起源を問うことが本質を知ることだと考えて来た。起源という観念は、<作者>という観念と強く結びついている。芸術品を理解するにあたって作者とは超越的な起源であり、この起源の意図を逸脱するあらゆる解釈は間違いであるという考えである。
だが近年、こうした二つの教義(ドクサ)は歴史的な考案物にすぎないのではないかという考えが台頭してきている。そもそも起源というものは存在するのだろうか。たとえば川はどこから始まるのか。恋愛はどの時点をもって起源を認定することができるのか。「アジア」や「オリエント」という呼称に起源を想定することは、いったい何を意味しているのか。
ジョン・レノンの歌ではないが、起源などないと想像してみたとき、われわれはいかなる真理に接近することになるのだろうか。
● 講師プロフィール
四方田 犬彦(よもた・いぬひこ)
1953年、大阪箕面に生まれる。東京大学文学部で宗教学を、同人文系大学院で比較文学を学ぶ。長らく明治学院大学教授として映画学を講じ、コロンビア大学、ボローニャ大学、清華大学、中央大学(ソウル)などで客員教授・客員研究員を歴任。コソヴォのミトロヴィッツァの難民の大学で日本文化を教えた。現在は映画、文学、漫画、演劇、料理と、幅広い文化現象をめぐり著述に専念。
近著として『親鸞への接近』(工作舎)、『詩の約束』(作品社)、『われらが<無意識>なる韓国』(作品社) 、『100POSTCARDS』(大和プレス)、『愚行の賦』(講談社)、『パゾリーニ』『ルイス・ブニュエル 増補改訂版』(作品社)『ゴダール、ジャン=リュック』(白水社)『大泉黒石』(岩波書店)。詩集に『わが煉獄』『離火』(港の人)、小説に『すべての鳥を放つ』(新潮社)、『夏の速度』(作品社)『戒厳』(講談社)。翻訳にボウルズ『優雅な獲物』『蜘蛛の家』、イルスト『猥褻なD夫人』、パゾリーニ『パゾリーニ詩集』、マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』などがある。
『月島物語』で斎藤緑雨文学賞を、『映画史への招待』でサントリー学芸賞を、『モロッコ流謫』で伊藤整文学賞を、『ルイス・ブニュエル』で芸術選奨文部科学大臣賞を、『詩の約束』で鮎川信夫賞を受けた。